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【2025年】建築資材高騰はいつから?2026年まで続く?原因と傾向を解説!

建築資材の価格が高騰し、現場での予算管理が困難になっていませんか?
2024年から続く建築資材の高騰は、ウッドショックやアイアンショック、円安など複数の要因が重なり合って発生しています。
現場監督として工事の収益性を守るためには、資材高騰がいつから始まり、いつまで続くのか、その原因と今後の傾向を正確に把握することが不可欠です。
本記事では、建築資材高騰の発端となった時期を振り返りながら、2026年現在の状況と2027年以降の見通しについて解説します。
建築資材高騰はいつから始まった?
建築資材の価格高騰は、2020年から段階的に深刻化してきました。
現場監督として予算管理や工期調整を行う上で、この高騰がどのような経緯で進行してきたのかを理解することは非常に重要です。
ここでは、時系列に沿って資材高騰の経緯を詳しく解説します。
2020年~2021年:ウッドショックの発生
建築資材高騰の始まりは、2020年後半から2021年にかけて発生した「ウッドショック」です。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、アメリカや中国では郊外への移住需要が急増し、木材需要が爆発的に高まりました。
特にアメリカでは、リモートワークの普及により住宅需要が急増。
加えて、コロナ禍による製材所の稼働停止や労働力不足が重なり、木材供給が大幅に減少しました。
この結果、日本が従来輸入していた北米産木材の価格が急騰し、国内の木材価格も連動して上昇しました。
日本国内では、2021年春頃から木材価格の高騰が顕著になり、一部の樹種では前年比で2倍以上の価格となるケースも見られました。
住宅の柱や梁に使用される構造用集成材や、合板の価格上昇は、木造住宅を中心に大きな影響を与えました。
2021年~2022年:アイアンショックと複合的な要因
2021年後半から2022年にかけては、木材に続いて鉄鋼製品の価格も急騰する「アイアンショック」が発生しました。
中国の経済回復による鉄鉱石需要の増加、主要産地であるオーストラリアとの貿易摩擦、さらにはコロナ禍からの世界的な経済回復による需要増が重なり、鉄鋼価格が高騰しました。
鉄筋、鉄骨、H型鋼などの構造材だけでなく、金属サイディングや屋根材などの仕上げ材も値上がりし、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物のコストが大幅に上昇しました。
2021年末から2022年初頭にかけて、鉄鋼製品は前年比で30~50%程度の価格上昇が見られました。
この時期には、原油価格の上昇も重なり、樹脂系建材や塗料、防水材などの石油由来製品も値上がりしました。
複数の資材が同時に高騰したことで、建築プロジェクト全体のコストコントロールが極めて困難になりました。
2022年~2023年:ウクライナ情勢と円安の影響拡大
2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻は、建築資材市場にさらなる混乱をもたらしました。
ロシアは木材、鉄鉱石、天然ガスなどの主要な資源輸出国であり、経済制裁による供給制限は世界的な資源不足を加速させました。
特に、ロシア産木材に依存していた中国や韓国が調達先を変更したことで、日本への木材供給にも影響が出ました。
また、天然ガス価格の高騰は、ガラスや窯業系サイディングなど、製造に大量のエネルギーを必要とする建材の価格にも波及しました。
同時期に進行した急激な円安も、輸入資材のコスト増に拍車をかけました。
2022年10月には1ドル=150円を突破し、約32年ぶりの円安水準となりました。
日本の建築資材の多くは輸入に依存しているため、円安は資材価格の上昇に直結しました。
木材、鉄鋼、石油化学製品だけでなく、ユニットバスやキッチンなどの住宅設備機器、断熱材、建築用電気配線材料など、幅広い品目で値上げが実施され、2022年から2023年にかけて、多くのメーカーが複数回の値上げを発表しました。
2024年~2026年:高止まりが続く現状
2024年から2026年にかけて、建築資材価格は高止まりの状態が続いています。
一部の品目では若干の価格調整が見られるものの、全体としてはコロナ禍前の水準には戻っていません。
2024年には、円安が引き続き影響を与えており、2024年7月時点でも1ドル=160円台まで円安が進行する局面がありました。
輸入資材への依存度が高い日本では、為替の影響を大きく受ける構造が続いています。
また、国内の人手不足による労務費の上昇も、資材価格の高止まりの一因となっています。
製造業、物流業、建設業すべてで人材確保が困難になっており、人件費の上昇が製品価格に転嫁されています。
2026年現在、建築資材価格はピーク時からは若干落ち着いたものの、依然として高水準で推移しており、現場では引き続き厳しいコスト管理が求められています。
建築資材高騰の主な原因7つ
建築資材の価格高騰には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
現場監督として適切な対策を講じるためには、それぞれの原因を正確に理解することが重要です。
ここでは、主要な7つの原因について詳しく解説します。
ウッドショック(木材不足)
ウッドショックは、2020年後半から顕在化した木材供給不足と価格高騰の現象です。
発端は、新型コロナウイルスのパンデミックによる社会構造の変化にあります。
アメリカでは、リモートワークの普及により都市部から郊外への移住が増加し、戸建て住宅需要が急増しました。
また、歴史的な低金利政策により住宅購入が促進され、木材需要が爆発的に高まりました。
一方で、コロナ禍による製材所の操業停止や労働力不足により供給が追いつかず、需給バランスが大きく崩れました。
中国でも経済回復に伴う建設ラッシュで木材需要が増加し、世界的な木材争奪戦が発生しました。
日本は北米やヨーロッパからの輸入木材に大きく依存していたため、価格高騰と供給不足の影響を強く受けました。
国産材への切り替えも進められましたが、国内の林業は長年の縮小により即座に供給を増やすことができず、需要を満たすには至りませんでした。
2021年春には、構造用集成材が前年比で約2倍、輸入製材が約4倍の価格となるケースも報告されました。
アイアンショック(鉄鋼価格の高騰)
アイアンショックは、2021年後半から本格化した鉄鋼製品の価格高騰です。
主な要因は、世界最大の鉄鋼生産国である中国の動向と、コロナ禍からの経済回復による世界的な需要増にあります。
中国では、大規模なインフラ投資や不動産開発により鉄鋼需要が急増しました。
同時に、環境規制の強化により粗鋼生産が制限されたことで、国内供給が逼迫し、輸出余力が減少しました。
さらに、鉄鉱石の主要輸出国であるオーストラリアとの政治的緊張により、原料調達コストも上昇しました。
日本では、H型鋼、鉄筋、鋼管などの構造用鋼材が大幅に値上がりし、2021年から2022年にかけて30~50%の価格上昇が見られました。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物では、資材費の大幅な増加により、予算超過や工事の延期を余儀なくされるケースが相次ぎました。
金属サイディング、屋根材、金属製建具なども値上がりし、鉄鋼価格の高騰は建築プロジェクト全体に広範な影響を及ぼしました。
ウクライナ情勢による物流混乱
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、世界的なサプライチェーンに深刻な混乱をもたらしました。
ロシアとウクライナは、木材、鉄鉱石、天然ガス、小麦などの主要資源の輸出国であり、両国からの供給停止は世界市場に大きな影響を与えました。
ロシアに対する経済制裁により、ロシア産木材の調達が困難になりました。
ロシアは世界第2位の木材輸出国であり、特に中国や韓国への輸出が多かったため、これらの国々が代替調達先を求めた結果、日本の木材調達にも影響が波及しました。
また、天然ガス価格の高騰は、ガラス、セメント、窯業系サイディングなどのエネルギー多消費型建材の製造コストを押し上げました。
欧州のエネルギー危機は、世界的なエネルギー価格の上昇につながり、日本の建材製造業にも影響しました。
物流面でも、黒海周辺の航路閉鎖や保険料の高騰により、海上輸送コストが上昇し、建築資材の調達コスト全体が増加しました。
円安による輸入コストの増加
2022年から2024年にかけて進行した急激な円安は、建築資材価格の高騰に大きく寄与しました。
日本は建築資材の多くを輸入に依存しており、為替レートの変動は資材コストに直結します。
2022年10月には、1ドル=150円を突破し、約32年ぶりの円安水準となりました。
2024年7月には一時的に1ドル=161円台まで円安が進行しました。
この円安により、輸入木材、輸入鉄鋼、石油化学製品、建築設備機器など、幅広い品目のコストが上昇しました。
たとえば、2020年に1ドル=110円で輸入していた資材が、2022年に1ドル=150円になると、ドルベースの価格が変わらなくても円建てコストは約36%増加します。
実際には資材の国際価格自体も上昇していたため、円安との相乗効果で価格上昇はさらに大きくなりました。
日本の建築資材の輸入依存度は、木材で約40%、鉄鋼製品の原料となる鉄鉱石はほぼ100%を輸入に頼っています。
このため、円安は建築業界全体に持続的な影響を与え続けています。
半導体不足と設備機器への影響
2020年から続く世界的な半導体不足は、住宅設備機器や建築用電気設備にも大きな影響を与えました。
現代の住宅設備には、給湯器、エアコン、換気システム、照明制御システムなど、多くの機器に半導体が使用されています。
半導体不足の原因は、コロナ禍による生産遅延、自動車や家電製品の需要急増、米中貿易摩擦による供給制約など、複数の要因が重なったことにあります。
半導体製造には高度な技術と設備が必要で、供給を短期間で増やすことは困難です。
この影響で、エコキュートやガス給湯器などの住宅設備機器の納期が大幅に遅延し、工期に影響が出るケースが相次ぎました。
また、供給不足による価格上昇も発生し、設備機器のコストが増加しました。
2023年以降、半導体不足は徐々に改善傾向にありますが、完全に解消されたわけではなく、一部の高性能機器では依然として納期遅延のリスクが残っています。
エネルギーコスト(ガソリン代・電気代)の上昇
原油価格の高騰と電気代の上昇は、建築資材の製造・輸送コストを押し上げる重要な要因となっています。
建材の製造には大量のエネルギーが必要であり、エネルギーコストの上昇は製品価格に直接転嫁されます。
2020年のコロナ禍で一時的に下落した原油価格は、経済回復とともに急上昇しました。
2022年のウクライナ情勢により、原油価格はさらに高騰し、一時的にWTI原油先物価格が1バレル=120ドルを超える水準まで上昇しました。
ガソリン価格の上昇は、建築資材の輸送コストを増加させ、特に地方の建設現場では物流費の負担が大きくなりました。
また、重機の燃料費も上昇し、現場運営コスト全体が増加しました。
電気代の上昇も深刻です。ガラス、セメント、金属製品などのエネルギー多消費型建材は、製造過程で大量の電力を使用します。
電気代の上昇により、これらの建材の製造コストが増加し、販売価格に反映されました。
2023年から2024年にかけて、日本政府は電気代やガソリン代の補助金を実施しましたが、補助金終了後の価格上昇リスクも懸念されています。
労務費の高騰
建設業界における深刻な人手不足は、労務費の上昇を招き、これが建築資材価格にも影響しています。
日本の建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、2023年には約479万人まで減少しました。
また、就業者の高齢化も進んでおり、55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約11%にとどまっています。
人手不足により、建材の製造現場、物流業、建設現場のすべてで労務費が上昇しています。
建材メーカーでは、人材確保のために賃金を引き上げざるを得ず、そのコストが製品価格に転嫁されています。
物流業界でも、トラックドライバー不足が深刻化しており、2024年問題(働き方改革による時間外労働の上限規制)の影響で、さらに輸送能力が低下する懸念があります。
配送コストの上昇は、建築資材の最終価格に上乗せされます。
建設現場でも、技能労働者の不足により、一人当たりの労務費が上昇しています。
国土交通省の「建設労働需給調査」によると、2023年の型枠工や鉄筋工などの技能労働者の不足率は高い水準で推移しており、賃金上昇圧力が続いています。
労務費の上昇は、資材価格だけでなく工事費全体に影響を与えるため、現場監督としては人員配置の効率化や工期管理の最適化がより重要になっています。
建築資材高騰は2026年まで続く?今後の見通しと影響要因
建築資材の価格動向は、国内外のさまざまな要因に影響されます。
2025年以降も高止まりが続くのか、それとも価格は落ち着くのか。
現場監督として中長期的な計画を立てるためには、今後の見通しを理解することが不可欠です。
ここでは、2026年までの価格動向に影響を与える主要な要因と専門家の見解を紹介します。
2025年問題(建設業・物流業)が与える影響
2024年4月から施行された働き方改革関連法により、建設業と物流業において時間外労働の上限規制が適用されました。
これがいわゆる「2024年問題」であり、その影響は2025年以降も継続すると予想されています。
物流業界では、トラックドライバーの時間外労働が年960時間に制限されたことで、長距離輸送の効率が低下し、輸送能力が不足する懸念があります。
特に建築資材は重量物が多く、輸送需要が高いため、配送コストの上昇や納期遅延のリスクが高まっています。
全日本トラック協会の試算では、2024年の規制導入により、約14%の輸送能力が不足する可能性があるとされています。
この影響で、建築資材の輸送費が上昇し、製品価格に転嫁される可能性があります。
建設業界でも、時間外労働の制限により工期が延びる傾向があり、人件費の増加につながっています。
人手不足が深刻化する中で、限られた労働時間内で工事を完了させるためには、より効率的な施工管理と適切な人員配置が求められます。
2026年以降も、この規制の影響により労務費と物流費の上昇圧力は継続すると予想され、建築資材価格の下落を妨げる要因となる可能性があります。
2025年4月建築物省エネ法改正の影響
2025年4月から、すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務化されます。
これまでは大規模建築物のみが対象でしたが、改正により住宅を含むすべての建築物が対象となります。
この改正により、断熱材、高性能窓、高効率設備などの省エネ関連資材の需要が増加すると予想されます。
特に、高性能グラスウール、ウレタンフォーム、樹脂サッシ、複層ガラス、LED照明、高効率給湯器などの需要が高まり、これらの資材価格が上昇する可能性があります。
また、省エネ基準への適合を証明するための設計・申請業務が増加し、設計コストや工期にも影響が出ることが予想されます。
現場監督としては、省エネ基準に適合した資材の選定と、適切な施工管理がより重要になります。
一方で、省エネ住宅への補助金制度(こどもエコすまい支援事業、ZEH補助金など)も継続・拡充される見込みであり、これらを活用することでコスト増加を一部相殺できる可能性もあります。
長期的には、省エネ資材の需要増加に伴い生産量が増えれば、スケールメリットにより価格が安定する可能性もありますが、2025年から2026年にかけての移行期には、需要の急増により一時的に価格が上昇するリスクがあります。
2050年カーボンニュートラルに向けた動き
日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。
この目標達成に向けて、建設業界にも大きな変革が求められています。
建築分野では、省エネ性能の向上に加えて、建材の製造過程におけるCO2排出削減が重要な課題となっています。
セメント、鉄鋼、ガラスなどの製造には大量のエネルギーが必要で、CO2排出量が多いため、これらの低炭素化が進められています。
低炭素セメント、高炉セメント、リサイクル鋼材、木材利用の拡大など、環境負荷の低い建材への転換が進められていますが、これらの新技術や新素材は、従来品よりも製造コストが高くなる傾向があります。
カーボンニュートラルへの取り組みが本格化するにつれて、環境対応コストが建材価格に反映される可能性があります。
また、カーボンプライシング(炭素税や排出権取引)の導入が検討されており、これが実施されれば、CO2排出量の多い建材の価格がさらに上昇する可能性があります。
一方で、木材利用の促進により、国産材の需要が増加することで、国内林業の活性化と木材価格の安定化につながる可能性もあります。
政府は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正し、民間建築物でも木材利用を推進しています。
2027年に向けて、カーボンニュートラルへの対応コストが建材価格に影響を与える一方で、技術革新や生産効率化により、長期的には価格が安定する可能性もあります。
国際情勢と為替の今後の見通し
建築資材価格は、国際的な資源市場の動向と為替レートに大きく影響されます。
2027年までの価格動向を予測する上で、これらの要因を注視することが重要です。
国際情勢については、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の不安定化が、エネルギー価格や資源価格に影響を与える可能性があります。
また、米中関係の動向も重要で、貿易摩擦が激化すれば、サプライチェーンの混乱や資材価格の変動につながる可能性があります。
中国経済の動向も注目されます。中国の不動産市場の低迷により建設需要が減少すれば、鉄鋼や木材などの資源需要が減少し、価格が下落する可能性があります。
一方で、中国政府の経済刺激策により需要が回復すれば、再び資源価格が上昇するリスクもあります。
為替については、日米の金融政策の方向性が鍵となります。
日本銀行が2024年3月にマイナス金利政策を解除しましたが、利上げペースは緩やかと予想されています。
一方、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策次第では、日米金利差が継続し、円安傾向が続く可能性があります。
円安が継続すれば、輸入資材のコスト高が続き、建築資材価格の下押し要因にはなりにくいと考えられます。
まとめ
建築資材の高騰は2020年のウッドショックから始まり、アイアンショック、ウクライナ情勢、円安など複数の要因が重なり、2026年現在も高止まりが続いています。
2027年までの見通しとしては、2025年問題による物流・労務費の上昇、省エネ法改正による省エネ資材需要の増加、カーボンニュートラルへの対応コストなどにより、資材価格は引き続き高水準で推移すると予想されます。
現場監督として重要なのは、価格の急激な下落を期待せず、現在の価格水準を前提とした予算管理を行うことです。
また、資材価格の動向を常に注視し、代替材の検討、発注タイミングの最適化、工程管理の効率化など、多角的なコストコントロールが求められます。
今後も国際情勢、為替、国内政策などの動向により資材価格は変動する可能性があるため、最新の情報収集と柔軟な対応が、建設プロジェクトの成功には不可欠です。


