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建デポマガジン

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合板の種類や用途、サイズ、強度、ベニヤとの違いについて解説!

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建設現場で使用される材料の中でも、特に重要な位置を占める合板。
現場監督として適切な合板を選択するためには、その種類や用途、強度特性を正しく理解することが不可欠です。

本記事では、合板の基礎知識から具体的な種類別の特徴、用途に応じた選び方まで、現場で役立つ実践的な情報を詳しく解説します。
ベニヤとの違いについても明確にし、建設プロジェクトを成功に導くための合板選択のポイントをお伝えします。

合板とは?

合板の定義

合板(ごうはん、Plywood)とは、木材を薄くスライスした単板(ベニヤ)を、木目の方向が互いに直交するように複数枚重ねて接着剤で貼り合わせた木質材料です。

単板を重ねることで、木材が持つ反りや割れといった欠点を補い、強度や寸法安定性を高めているのが特徴です。

主に建築物の構造材、下地材、内装材、家具材、梱包材など、幅広い用途で利用されています。

合板の基本構造

合板は、通常3枚以上の奇数枚の単板で構成されます。

最も外側の単板を表板、その裏側の単板を裏板、中央の単板を中板と呼びます。
単板の繊維方向を互いに90度ずつずらして積層することで、木材の異方性(方向によって性質が異なること)を打ち消し、全方向に対して均一に近い強度と安定性を実現しています。

一般的なサイズは3尺×6尺(約910mm×1820mm)や4尺×8尺(約1220mm×2430mm)などの定尺板が主流で、厚みも2.5mmから30mm以上まで多岐にわたります。

合板とベニヤの違い

合板とベニヤは混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

ベニヤ(単板)

丸太を桂むき(ロータリーカット)やスライスカットによって薄く剥がした一枚の板のことです。

合板の製造における原材料であり、それ自体は単層の薄い木材です。

合板

このベニヤ(単板)を複数枚、木目が直交するように重ねて接着剤で貼り合わせた製品です。

ベニヤ単体では強度が低く反りやすいですが、合板にすることで強度と安定性が大幅に向上します。

つまり、ベニヤは合板の「材料」であり、合板はベニヤを加工して作られた「製品」であると理解すると良いでしょう。

合板の主要な種類と特徴

建設現場で使われる合板には、用途や性能に応じてさまざまな種類があります。

ここでは主要な合板の種類とその特徴を解説します。

普通合板

最も一般的な合板で、特別な機能を持たない汎用性の高い製品です。
内装下地材、家具の芯材、梱包材など、幅広い用途で使用されます。

JAS(日本農林規格)によって接着性能や品質が分類されており、特に水湿に耐える性能に応じて「特類」「1類」「2類」の3種類があります。
建築現場では主に2類が内装下地などに用いられますが、水回りの下地には1類が選ばれることもあります。

コンクリート型枠合板(コンパネ)

コンクリート打設時の型枠として使用される合板で、「コンパネ」の通称で広く知られています。

表面にはウレタン樹脂などの塗装が施されており、コンクリートとの剥離性を高め、複数回の転用を可能にしています。
高い耐水性と強度を持ち、繰り返し使用できるよう設計されています。

一般的なサイズは3尺×6尺(910mm×1820mm)で、厚みは12mmが主流です。

構造用合板

建築物の構造部材として使用されることを目的とした合板です。
壁、床、屋根の下地材として、建物の耐力向上に寄与します。

JAS規格により、せん断強度や曲げ強度などの機械的性質が厳しく定められており、品質が保証されています。

一般的に針葉樹を原料とすることが多く、高い強度と剛性が求められる部位に使用されます。厚みは9mm、12mm、24mmなどが一般的です。

特殊合板

特定の機能や意匠性を持たせた合板の総称です。

主なものには以下のような種類があります。

化粧合板

表面に天然木の薄板(突板)や樹脂シート、プリント紙などを貼り付け、美観を高めた合板。

内装材や家具の表面材として使用されます。

プリント合板

木目や石目などの模様を印刷した紙を貼り付けた合板。

安価で意匠性が高く、内装材によく用いられます。

不燃合板・準不燃合板

防火性能を高めた合板。建築基準法で定められた不燃材料または準不燃材料の認定を受けており、内装制限のある部位に使用されます。

難燃合板

建築基準法で定められた難燃性能を持つ合板です。
火災時の延焼を遅らせる効果があり、特定の建築物や内装制限のある部位(避難経路、共同住宅の共用部など)で使用が義務付けられることがあります。

通常の合板に難燃剤を添加したり難燃処理を施したりして製造されます。

樹種別合板の種類と用途

合板の原料となる樹種によっても、その特徴や用途は異なります。

ラワン合板

南洋材のラワンを主原料とした合板です。
比較的、安価で加工しやすく、最も広く普及している合板の一つです。

表面はやや粗く、塗装を施す場合は下地処理が必要になることがあります。

内装下地材、家具の芯材、梱包材、仮設材など、多様な用途で利用されます。

シナ合板

シナノキを主原料とした合板です。

表面が非常に滑らかで木目が美しく、淡い色合いが特徴です。
塗装や着色を施すことでさらに美しさが際立ちます。

化粧貼りの下地、家具の表面材、建具、内装仕上げ材など、意匠性が求められる部位に多く使用されます。

ポプラ合板

ポプラ材を主原料とした合板で、軽量であることが最大の特徴です。
加工しやすく、コストも抑えられます。

梱包材、パレット、軽家具の芯材、DIY材料などに適しています。

強度が必要な構造材には不向きですが、軽さを活かした用途で重宝されます。

針葉樹合板

スギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹を主原料とした合板です。
特にスギ合板は国内で多く生産されており、国産材の利用促進にも貢献しています。

強度が高く、構造用合板の多くが針葉樹合板です。

耐力壁、床下地、屋根下地など、高い強度が求められる建築物の構造材として広く採用されています。

合板の強度性能と品質基準

現場監督として合板を選ぶ際には、その強度性能と品質基準を理解することが非常に重要です。

曲げ強度と圧縮強度

合板の強度性能を評価する上で重要なのが、曲げ強度と圧縮強度です。

曲げ強度

合板が曲げ応力に対してどれだけ耐えられるかを示す指標です。床や屋根の下地など、たわみや変形が許されない部位で特に重要になります。

圧縮強度

合板が圧縮応力に対してどれだけ耐えられるかを示す指標です。

壁の面材として垂直方向の荷重を支える場合などに重要となります。

合板は単板の繊維方向が直交しているため、単一の木材に比べて方向による強度の差が少ないですが、それでも積層の仕方や樹種によって強度は異なります。
構造用合板ではこれらの強度がJAS規格で厳しく定められています。

接着性能と耐水性

合板の品質を左右する重要な要素が、単板同士を接着する接着剤の性能と、それによって決まる耐水性です。

JAS規格では、接着性能に応じて以下の3つの区分があります。

特類

接着剤の性能が最も高く、煮沸・乾燥を繰り返しても剥がれない性能を持ちます。

常時湿潤状態となる場所や、過酷な環境下で使用される合板に適用されます。

1類

長時間水湿にさらされても剥がれない性能を持ちます。

屋外や水回りの下地など、湿潤状態になる可能性がある場所で使用されます。

2類

比較的乾燥した状態での使用を想定しており、一時的な水湿には耐えますが、常時湿潤状態には不向きです。

内装下地など、一般的な屋内環境で使用されます。

現場の環境に応じて適切な接着性能の合板を選ぶことが、長期的な品質維持に繋がります。

JAS規格による品質分類

JAS(日本農林規格)は、合板の品質を保証するための国家規格です。

JASマークが表示された合板は、以下の項目について一定の基準を満たしていることが保証されています。

  • 種類: 普通合板、構造用合板、コンクリート型枠合板など
  • 等級: 表面の品質(節、割れ、色むらなど)に応じた等級(A、B、C、Dなど)
  • 接着性能: 特類、1類、2類
  • ホルムアルデヒド放散量: F☆☆☆☆(フォースター)など、シックハウス対策のための等級

現場監督は、JASマークと表示内容を確認することで、用途に適した品質の合板を確実に選択することができます。

強度試験方法と評価基準

JAS規格では、合板の強度性能を評価するための具体的な試験方法と評価基準が定められています。

主な試験には、曲げ試験、せん断試験、接着強度試験などがあります。
これらの試験によって、合板が設計通りの強度を発揮するか、また接着剤が適切に機能しているかなどが確認されます。

特に構造用合板では、これらの試験結果に基づいて、特定の用途に適合する性能等級が与えられます。

まとめ

現場監督として適切な合板を選択するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 用途の明確化…構造材、下地材、内装材、型枠材など、合板を使用する目的を明確にする。
  • 環境への適合…屋内か屋外か、湿潤環境か乾燥環境かなど、使用される環境を考慮し、適切な接着性能(特類、1類、2類)を選ぶ。
  • 強度性能の確認…構造用合板など、強度が必要な場合はJAS規格の等級や樹種を確認する。
  • ベニヤとの違いの理解…合板とベニヤの基本的な違いを理解し、適切な用語を使用する。

これらの知識を活かし、各プロジェクトの要求性能とコストバランスを考慮しながら最適な合板を選定することで、建設現場の品質向上と効率化に貢献できるでしょう。

常に最新のJAS規格や製品情報を確認し、安全で耐久性のある建築物を実現してください。

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